Gate22:プラハの宿探しと深夜の危険地帯

プラハの夜道

 

”中欧 ”のガイドブックには、こう書かれていた。

 

 

「プラハ、ブダペスト、ソフィア等の中欧の都市では、

 

 最近、スキンヘッドの集団がアジア人に暴行を加える事件が

 

 増加しているので要注意。」

 

 

 

 

ふーん。

 

そんなんあんねや。

 

スキンヘッドの集団て、、、

 

 

 

ほんまかいな。

 

ドイツでいえば、ネオナチみたいなもんかな?

 

 

 

 

俺は、ガイドブックに書かれていたことを思い出していた。

 

 

 

 

確かに、ソ連崩壊後チェコは、民主主義化を目指し

 

著しい発展を遂げているといって、いいかもしれない。

 

もうすぐEUにも加盟するらしいし。

 

 

 

 

けど入国して数時間しか、いてない俺でも

 

EU圏との格差は目にみえて感じられる。

 

まだまだ貧しいな、、、

 

 

 

 

ドイツでもドイツ人が、仕事ないのを外国人のせいにして

 

外国人を排斥したがっている人もいる。

 

東欧では、アジア人が恨まれてんのかもしれん。

 

 

 

 

しかし、それより俺のカバンが重すぎてそれどころじゃあらへん。

 

なんか捨てて、荷物ちょっとずつ軽くしていこかな。

 

 

 

 

早くも、そんなことを考えていると、

 

比較的大きな通りにでてきた。

 

 

 

けど、大きいくせに車が一台も通ってへんねん。

 

まあ時間も時間やしな。

 

 

 

誰もいない辺りの風景は、よく使われる言葉で言うと、

 

中世のヨーロッパの雰囲気を色濃く残している、って感じや。

 

 

 

 

すると、前から一台の車がやってきた。

 

歩道を歩いてた俺は、何気なくその車を眺めていた。

 

なんか変なことしとる。

 

 

 

 

ちょうど俺の200mほど前で停まり、必死に歩道に乗り上げようとしている。

 

なんでいちいち歩道に乗り上げて、車停めんねやろ?

 

なんやあの車、意味わからんわ。

 

 

 

そう思って歩いていたら、車が歩道に乗り上げても停止しない。

 

逆に、スピードを上げて俺のいる方向へと車が走ってくる。

 

 

えっ?

 

 

 

前から近づいてくる車をよく見てみると、

 

5〜6人の人影がみえる。

 

うち1人は窓に座り、体をだして奇声を発している。

 

右手に折れた道路標識の長いパイプを持って。

 

 

 

 

”止まれ ”の道路標識の先が、地面と擦れ金属音を放っている。

 

スピードも、グングン上がっている。

 

車が俺の直前まで来たとき、彼らの顔を見て、俺は彼らの意図がようやくわかった。

 

 

 

 

彼らは、全員スキンヘッドだった。

 

 

俺の所持金あと1209ユーロ。

 

(15万円ぐらい)