Gate17:テレビ局へテープの売り込み

安宿で一晩過ごした迅達は、CNNに向かっていた。
戦場での生映像を売り込むために。

 

しかし、途中、思いもよらない人物に出会う。
筑紫哲也さんであった。
彼も、緊迫した状況であるカンボジアにきていたのだ。

 

そのころ、老人はいなくなった2人に気付き、必死に後を追っていた。
老人は、逃げられたことにより頭に血がのぼり、
正常な判断ができない状態であった。
迅達が昨夜泊まっていた宿を突き止め、向かった先を探していると、
彼らがCNNの場所を聞いてきたという情報を、
召使いが、宿の主人から聞きだしてきた。
老人は、すぐにジャーナリストが集まるホテルへと向かったのであった。
もちろん、ユウを殺すために。

 

筑紫哲也と出会った迅達は、今までの出来事を話し、
その状況をテープとして持っていると打ち明けた。
すると、そのテープは、TBSで買い取るからといって局の人間を紹介してくれたのだ。

 

日本の某テレビ海外支局でテープを見せた迅は、担当者に
「このテープ、誰かに見せたことはあるか?」
と聞かれたので、
「いえ、おたくに見せるのが初めてですが。」と答えた。
「そう。もしこのテープを他の局に持っていかないのであれば、1000ドルだします。
 しかし、他の局にも持っていくつもりなら500ドルしかだせない。」

 

カンボジアにきているTV局は、ほかにもいくつかある。
数局まわれば1000ドルは、超えるだろう。
迅達は、後者のほうを選ぶことにした。

 

「他にも見せるつもりです。」
「そうか、じゃあ500ドルしかだせないが、それでいいかい?」
そう言われ、迅達は500ドルを受け取り、テレビ○○へと向かった。

 

いくつかの、TV局が一つのホテルに集まっていたため、
移動をしなくていいことが迅には幸いであった。
迅には、疲労のため動く力は、ほとんど残されていなかった。

 

テレ○の職員にテープを見せると、思わぬ反応が返ってきた。
「これは、すごい。よくこんな映像を撮ったね。
 この映像なら4000ドルは、だすよ。どうだい?」
さっきと額が全然違っていた。
「ところで、このテープは誰かに見せたことはあるの?」
迅は、先ほどの某テレビ局でのやりとりを全て話した。
「そうか、それは足元をみられたね。
  このテープの内容じゃ1000ドルは、安すぎるよ。
ウチに一番に持ってくればよかったのに 、、、
本来なら、他局にあるテープは買わないんだけど、
特別に450ドルでよければ、買い取れるけど、どうかな?」

 

 

騙された。

 

そう思ったが時すでに遅く、迅達に選択肢はなかった。
だいたい、この類いのテープの相場なんて迅達にわかるはずがない。

 

さらに向かった□□テレビで驚くべき事実を知る。
そこの職員にテープを見せると、
「ああ、これね。
  さっき6時のニュースでこの映像流れてたよ。」

 

TBSの行動は速かった。
迅達がテープを売ったあとすぐに、
その映像は日本で、独占スクープ映像として放送されたのだ。

 

結局、命がけで撮った映像は950ドルにしかならなかった。