Gate7:ザールブリュッケンでの失敗と迷走

あの頃、俺は大学寮にいた。
ザールブリュッケンというフランス国境沿いの小さな街の大学寮に。

 

部屋には何も無く、机とベットがおいてあるだけ。
電気をつけても薄暗く、電気を消しても薄暗い。
そんな狭くて陰湿な部屋に、2人で住んでいた。

 

俺達は金も無く、部屋も無く、コネも無い。
そして、一切の情報がなかった。
俺は先入観をなくすため、一切の情報をいれなかった。

 

所持金は25万。
このままいくと、1、2ヶ月後には、日本である。

 

それはダサい。ダサすぎる。
ツレに何ゆわれるかわからへん。
なにより、俺自身帰りたくない。

 

この金が底をつく前に、仕事でもするか。
もちろん、そのつもりで来たのだが。

 

しかし、この街結構英語通じません。
じゃあ、日本人探していろいろ教えてもらうか。
そう思い、俺達は街の中心へと向かった。

 

観光も兼ねて丸2日、繁華街を歩き回った。
しかし、1人として日本人が見当たらない。
てゆうか東洋人さえもみんかった。
おいおい、そんなはずないやろ?

 

諦めて帰ろうとしていたら、偶然日本人が、前から歩いてきた。
俺達は、すかさず彼らに声をかけ、事情を話した。
すると、どうやら彼はザール大学の学生で、
なんと、契約ミスで部屋を2つもっているらしい。

 

なんかこんな話、深夜特急でも読んだ気すんねんけど。

 

俺達は、彼の好意により、喜んでその部屋を一つ貸してもらうことにした。
タダで。

 

俺達は、その生活を満喫した。
最初のうちだけ。
他の学生達とキッチンではしゃいだり、
この寮にいる人達は、いろんな国から来てるのでそこそこおもしろい。
部屋の持ち主の人に誘われドイツ人のホームパーティーにいったりもした。
週1回は、寮で仮設のクラブが出来上がり、夜になるといつも馬鹿騒ぎ。
ほとんどいってへんけど、、、

 

ただ仕事がみつからへん。
せやけど金だけがんがん減っていく。
かなり使いまくってたね。25万しかないくせに。

 

はっきり言って、この部屋に住みだしてから、
徐々に俺と後輩との仲がわるくなっていった。
ただ彼とは、日本でもよく遊んだし、仲もええほうやと思う。
せやけど、1日1日、日が経つにつれ、相手の言動全てが気にくわなくなっていく。
当然、むこうも、同じ様なこと思ってたやろうけど。

 

そして、2人の仲の悪さも最高潮をむかえ、部屋もそろそろでやなあかんので、
俺達は、ザールを出ることにした。

 

やっぱり大きめの都市にいかんとあかんわ。
この街飽きてきたんもあるねんけど。

 

当初から、最初の間だけ、一緒に行動する予定だったので、
俺達は、ザールを出るのをきっかけに、別行動することにした。
それぞれ、行きたい所とかあるしな。
2人の関係もうまいこといってへんかったし。

 

そして、俺はデュッセルドルフヘ向かう事にした。
そして、彼もデュッセルドルフへ向かう事にした。

 

 

俺の所持金、あと16万。